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RODEO REPORT
本場アメリカのロデオ界の現状がよくわかる

ロデオ界は波乱万丈 (2004年11月20日)

続・ロデオ界は波乱万丈 (2005年3月24日)

ロデオ界は波乱万丈 Vol.3 (2005年9月23日)

最近はロデオとブルライディング界がまたまた面白くなってきた!

今年の一月、水面下で進行していたプロフェッショナル・ロデオ・カウボーイズ協会(PRCA)の財政難が遂に公の場から見えるところに湧き上がってしまった−PRCAが財政問題からプロ・ロデオ殿堂の休館を発表したのだ。建前上は殿堂の運営方針の見直しと殿堂のあり方の再検討や観光客に人気の場所に関わらず赤字であったなどと綺麗な理由がPRCA広報部より並べられたが、PRCAの設立した機関であり運営資金をPRCAから一部賄われている殿堂の休館はPRCAの財政難の深刻さを世に知らしめただけであった。

これだけでも関心をさらう出来事なのに、この後更にひょうたんから駒の様な事が起きるのだ。なんと、2月1日にはPRCAの宿敵であるプロフェッショナル・ブル・ライダーズ(PBR)がいきなりプロ・ロデオ殿堂に$5万(約¥560万)の寄付をしたのです!賢いというべきか、いやらしいというべきか...この寄付によって勿論、殿堂は再び開かれることになるのだが、同時にPRCAにPBRを認めさせる効果もあったのだ。これまでPRCAはPBRのことを「ブルライディングプロダクション」と言及するにとどまり、決して正式名称を使用せずライバル団体の存在を認めようとしなかった。しかし、この様な多額の寄付金を出されてしまうといくらPRCAと言えども寄付金の源が「某ブルライディングプロダクション」とだけ言うことはできず、初めてPBRの正式名称に触れた「プロ・ブルライダーズ(株)プロ・ロデオ殿堂に$5万寄付」と題されたニュースリリースを広報部から出した。PBRのこの行動はPRCAに自己の存在を認めさせただけでなく財政難が囁かれるPRCAとロデオファンに対しPBRの懐の暖かさを嫌味なほど見せつけたと同時に、PBRのスポンサーになりそうな企業に対しPBRは堅実な投資であることをアピールしたと考えられる。

さて、依然財政建て直し中のPRCAであるが、財政建て直しの原則に「金にならないものは切る」が挙げられる。この原則に基づき、PRCAは今年8月に何十年も続いたカナダ・プロ・ロデオ協会(CPRA)との業務提携を今年いっぱいで打ち切ると発表した。米国内に於いてPRCAが認定しているロデオは合計賞金額の5%にあたる金額を「認定費」としてPRCAに納めなければならないこととなっている。しかし、PRCAの正式発表によると、CPRAとの業務提携を通してCPRAのロデオは全てPRCAの認定を受けているものの、カナダに於けるロデオは何処一つとしてPRCAに認定費を納めていなかったのである。従って、CPRAのロデオを認定する為に必要な事務費や人材費を全てPRCAが負担することとなり、これからもCPRAのロデオを認定し続けることはPRCAに対しロスばかりで利点が無かった為、提携打ち切りに動いたのだ。「世の中金ばかりじゃない」と言いたいところだが、PRCAも非営利団体ではあるものの、個人が利益を得ないだけであり団体が利益を得ない訳ではない。従ってPRCAも列記としたビジネスであり、ビジネスにとって世の中は正に「金だけ」である。損ばかり被り利点の無い関係を続けるビジネスは世の中殆どいない。

ビジネスの観点から見てみるとPRCAがCPRAとの提携に終止符を打ったのは賢い業務行為である。業務提携が結ばれた当時はロデオが現在ほど普及しておらず、PRCAもCPRAも生き永らえるには認定費よりも会員、つまり参加選手を増やす必要があった。PRCAとCPRAの業務提携はお互いのロデオを認定することにより参加人口を増やすことに成功し、現にカナダ人の世界チャンピオンは提携以来多数誕生している。しかし、PRCAもCPRAも成長していくに従い参加人口も増え、選手が何百人から何千人にも膨れると焦点が人口増加から収入増量へと移る。これでカナダロデオの認定費未納が問題になってくるわけだ。

CPRAとの提携を続けることはPRCAに対して損ばかりだが、反対に提携を切ることにより利点がある。カナダの選手が米国のロデオに参加しなくなると思うだろうが、実はカナダのプロ・ロデオ選手が生活していけるだけのロデオはカナダに少ない。よってカナダの選手は生活の糧の大部分を米国のロデオで得ており、米国のロデオとそれを認定するPRCAに大きく依存している。CPRAとの連携を切ることにより失われるカナダの選手はあくまでも低いレベルにいる選手だけであり、ハイレベルの選手は継続してPRCAに属し続けるであろう。反対に、CPRAのロデオに参加しても世界ランキングに加算されなくなってしまうのでカナダのトップ選手が自国のロデオに参加しなくなってしまう可能性のほうが高い。

PRCAがCPRAとの縁を切ることによって得られる最も大きい利点は金である。CPRAとの提携は打ち切ったものの、カナダのロデオは個別にPRCAの認定を申請することができる。但し、以前とは異なり、今回認定されれば米国のロデオ同様合計賞金額の5%を認定費としてPRCAに納めなければならなくなる。カナダの小さいロデオは参加選手の殆どがカナダ人でPRCAの認定を受けてもPRCAの選手は参加しないから認定を見送るだろうが、カルガリー・スタンピードなど米国の選手に大きく依存している大規模ロデオはPRCAの選手が来なくなったりPRCAを通してテレビで放映されなくなってしまえば大損害を被りかねない。従ってこの様な大規模なロデオが個別に認定申請を行うことは確実であり、カルガリーだけでも総合賞金額の5%は低く見積もって$2万(約¥223万)ほどになる。これが今までPRCAの手に渡っていなかったのだから提携を打ち切ったのも無理も無い。

PRCAがチャンピオンシップ・ブル・ライディング(CBR)と提携を開始し、CPRAとの提携を打ち切るなか、1960年代以来のPRCAのライバルで米国二位の規模を誇るインターナショナル・プロ・ロデオ協会(IPRA)がPRCAの宿敵PBRと業務提携を模索中であると8月27日に発表した。発表は曖昧な表現しか使用しておらず、提携がどのような形のものになるかには触れていないし、提携交渉を始めた理由も書かれていないが、PRCAとCBRの提携を牽制しているのは自明である。PBRと連携することによりIPRAの知名度と妥当性は上がるだろうが、自立でうなぎのぼりの成長を続けているPBRが何を得られるかは不明である。また、巷ではIPRAが酷い財政難に陥っており、提携交渉は建前だけで、実際はPBRがIPRAを買収する交渉であるとの噂もたっている。しかし、わざわざロデオから独立し、ブルライディングだけの新しい形のスポーツを作り上げ、人気も出て、スポーツ界に於いて自分の場所を確立しつつあるPBRがロデオ団体、しかも株式会社であるPBRが非営利団体を買収することによって何が得られるのかが全く見えないので、これはあくまでも巷の噂に過ぎないであろう。

しかし、PBRとてもたもたはしてられない。PBRの立ち上げ直後から貢献し、当初の人気の要素でありながらPBRが方針変更などを経て手放したりPBRを辞めて行った人物が次々とCBRに加勢しているのである。前回述べたPBRの初代会長タフ・ヘドマンを始め、CBRがテレビ放映され始めると早速視聴者に人気のベテランアナウンサーでPRCAとPBR双方でアナウンサー経験があるパム・ミネックをCBRのメインアナウンサーに起用した。パムは元ミス・ロデオ・アメリカでバレルレーシングの選手でもあり、アメリカのロデオ好きで彼女の名を知らない者はいないほどの知名度と人気を誇る名アナウンサーである。PBRが方針転換しもっと若い層に受けるであろう若い女性アナウンサーを起用しパムを手放したところCBRがすくい上げたというわけ。年こそは中年かもしれないがパムの美はまだまだ健在で、若いアナウンサーよりも彼女の笑顔と巧みな喋りの方を好むブルライディングファンも決して少ないとは言えない。

そして、パムとの絶妙なやり取りで視聴者の関心を仰ぎ、ブルライディングの解説は時には視聴者を笑わせ、時には感心させ、時には興奮させる人がいる。PRCAに於いて70年代から80年代初期にかけて8回もブルライディングの世界チャンピオンに輝いたドニー・ゲイである。85年にブルライディングを引退してからドニーはアナウンサーに転身し、ここでも絶大な人気を我が物にした。彼の少し甲高い声と普段耳にしない隠喩的表現が視聴者に受け、80年代後半から90年代初期までテレビ放映されたPRCAのロデオは必ず彼がアナウンスしていたほどの人気であった。93年にPBRが立ち上げられ、94年頃からテレビ放映され出すと、ドニーはすぐさまPBRにアナウンサーとして雇われた。ここでもドニーの人気は健在で、今までブルライディングの「ブ」の字も知らなかった都会の人々にも大受けした。しかし、5、6年ほど前にPBRが方針転換し、アナウンスを大会会場で大会の収録と同時に収録して欲しいと言い出すとドニーはメリットが見えないと反対しPBRを辞めてしまった。そして今年の7月26日、CBRは11月のCBR世界決勝戦に於いてドニー・ゲイがコメンテーターを務めると発表した。

選手は違えど、タフやパム、ドニーなど、視聴者やファンに見え、人気のあった人物が多数CBRに籍を移したことはCBRの人気向上に繋がるであろう。これからはこのCBRの成長に対するPBRの対応がみどころだ。

ロデオ界は波乱万丈 Vol.4 (2005年10月26日)

ロデオ界は波乱万丈 Vol.5 (2005年12月 2日)

ロデオ界は波乱万丈 Vol.6 (2006年12月 3日)


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